2019年1月31日に発売された『ピコ太郎のつくりかた』を、ピコ太郎の産みの親・古坂大魔王さんの命式と照らし合わせながら読み終えました。
〝四柱推命〟の視点で味わった本書のエッセンスを書いてみます。
古坂大魔王さんの飽くなき探究心を示す【墓】
『ピコ太郎のつくりかた』一冊を通じていちばん印象に残ったのは、古坂大魔王さんの飽くなき探究心です。
古坂大魔王さんの命式の月柱(仕事運や現在の年代の運を表す)には十二運星の【墓】があります。
十二運星は、その時期の運気の特長や、運勢エネルギーの強弱(性質)を読みます。
意味は、次のとおりです。
十二運星【墓】の性質
- 「入墓」のイメージ
- 探究心が強く凝り性
- 地味でも一つのことをコツコツとやるとよい
- 先祖供養の役目
この【墓】が古坂大魔王さんの芸能活動の核になっていることが、本書からしっかりと伝わってきます。
「PPAP」をリリースした直後、TRFのDJ KOOさんからこう言われた。「ずるいよ、いい!あのトラック、やばいよ!今どき808(ローランドのリズムマシン[TRー808]であのスネア刻むなんて、それ、むしろ新しいよ!」DJ KOOさんにそうい言っていただき、「そこをわかってくれましたか?」と嬉しかった。音楽のプロにならわかるはず。「PPAP」にはツウ好みの仕掛けが随所に施されている。
〜(中略)〜「ここまでのこだわりはきっと伝わらないな」と思っても、誰かが見つけてくれる。だから、とことんまで自分がいいと思うものを追求しよう。インターネットによって世界の片隅のこだわりは世界の中心に一瞬で届くようになったのだ。
『ピコ太郎のつくりかた』P.55
大ヒットコンテンツに膨大な歴史あり
ピコ太郎の動画の原型は「みんなのテクノ体操」です(本書で初めて知りました)
「みんなのテクノ体操」は、「PPAP」とトラックだけでなくダンスまでそっくりです。
この「みんなのテクノ体操」の元になっているのが「テクノ体操」です。
「テクノ体操」は、古坂大魔王さんの前身、古坂和仁さんとして活動していたお笑いコンビ《底ぬけAIR-LINE》が、第1回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会で披露したコンテンツ。
放送されたのは1999年8月なので、さかのぼること20年前になります。
ヒットするコンテンツには、膨大な歴史がある。PPAPは1ヵ月くらいで作ったが、本当のことを言えば、芸歴25年の長い時を得てこの世に誕生したのだ。
『ピコ太郎のつくりかた』P.167
「お笑いで人々を楽しませる(食神)」という自分の才能を、粘り強く探究しつづけることで(墓)、成功につなげる(建禄)。
本書には、古坂大魔王さんの命式を裏づけるエピソードがそこかしこに綴られていて、四柱推命の視点を持ち込んだ読書体験を愉しいものにしてくれました。
古坂大魔王さんの在り方を示す〝愛こそ最強〟
古坂大魔王さんは、運勢バランスがきわめて優れている【五徳】の持ち主です。
【五徳】については、こちらの記事で書いています。
「愛こそ最強」
【五徳】の古坂大魔王さんを端的に表す言葉です。
自分自身を俯瞰する〝転校生〟としての目線を忘れず、「みんなに笑ってもらうには『まずは愛してもらう』ことが最初の一歩」だと古坂大魔王さんは綴っています。
ピコ太郎の礼儀正しさも、古坂大魔王さん自身が「出会う人すべてを愛することを目指している」ためなのです。
古坂大魔王さんは「愛こそ最強」を信じて、どんな些細なことにも手を抜きません。
本書から具体例(一部)をあげてみます。
- 大勢の芸能人と仕事で一緒するときは、事前に必ずその人たちの近況を調べるようにしている
- 所属事務所のウェブサイトで最近の仕事をチェック
- YouTube、ブログ、ツイッターを一気に見る
- ミュージシャンと会うときには、前日や移動中にCDを絶対に聞いておく。そのうえで、自分なりの音楽論を準備していって意見を伝える(「ちゃんと聴いてくれているよ」と伝えることになりと喜んでもらえる)
「ごく当たり前のこと丁寧にする」ことを一番大切にしている古坂大魔王さんの姿に、「五徳」の内容が重なります。
儒教でいう「五徳」
- 仁(人を思いやり、優しさをもって接すること)
- 義(正しい生き方=私利私欲にとらわれず、人として正しい行いをし、自分のなすべきことをすること)
- 礼(礼儀、礼儀作法=「仁」を具体的な行動として表したもの)
- 智(智徳=学問に励み、知識を得て、正しい判断が下せるような能力)
- 信(信頼、信用、正直=約束を守り、常に誠実であること)
本書を読み終えてわかったのは、『ピコ太郎のつくりかた』は「古坂大魔王の在り方」そのものである、ということです。
たしかに古坂大魔王さんは、全部で3つある身強の星のうち【冠帯】【建禄】の2つを持っていて、運勢エネルギーがたいへん強い命式を持っています。
しかし、これに甘んじることなく、当たり前のことを手を抜かずに誠実に実践する姿勢が、古坂大魔王さんの現在の成功の土台になっていることが本書から十分に読み取れました。
「当たり前のことをバカにしないでちゃんとやる。それができる人」。
これは、別名【ABCDの法則】といいます。
【ABCDの法則】
- A:当たり前のことを
- B:バカにしないで
- C:ちゃんとやる
- D:(それが)できる人
【ABCDの法則】は【五徳】の在り方そのものであり、〝最強の古坂大魔王さん〟をささえる実践哲学です。
インターネット空間に〝徳〟を積む
「ピコ太郎」を世に送り出した古坂大魔王さんは、インターネット空間に〝徳〟を積む大切さを本書を通じて気づかせてくれました。
「ピコ太郎」の誕生とともに、20年前の『みんなのテクノ体操』は「ピコ太郎の原型」として再び脚光を集めました。
過去のコンテンツも、人びとを楽しませ、慰め、励まします。
人生に無駄はない。紆余曲折を経てさまざまな仕事を経験し、ときには回り道をしているように思えても、そのときの苦労や工夫はあとでつながって全部活きる。努力はそのときに報われなくても、努力した自分ができあがっている。今自分がしている経験は、すべて将来に生きる「芸のこやしに」になる。
『ピコ太郎のつくりかた』P.112
自分が経験したり、学んだり、心を動かされたことなどを通じて受け取ったものを、〝ほかの誰かにとっての役立つもの(コンテンツ)〟に変換してインターネット上に誰もがアクセスできる状態で置いておく。
その価値は、必要とする誰かに見いだされ、見いだした人々の間で〝幸せエネルギー〟の交換が始まり、これが加速する。
これは「PPAP現象」でわたしたちが味わった経験そのものです。
インターネットの時代において、コンテンツを創造し、これをサイバー空間に置くとはどんな意味を持つのか?
情報発信者、コンテンツメーカーとして生きられるチャンスを手にしたわたしたちが、人として一番大切にすべきことは何か?
『ピコ太郎のつくりかた』を通じて、古坂大魔王さんはAI時代を生きるための本当に必要な〝知恵〟を身をもって教えてくれているのです。
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インターネット空間に〝徳〟を積むといえば、片づけコンサルタント〝こんまりさん〟こと近藤麻理恵さんの番組「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」が、2019年1月1日にNetflixで配信開始され、これがアメリカで話題になっています。
こんまりさんと古坂大魔王さんには共通点が見つかりました。あわせてお読みください。
こんまりさんとピコ太郎の共通点