Netflixに登録し、話題の連続ドラマ(全8話)を鑑賞しました。
作品タイトルは『全裸監督』。
『全裸監督』とは、俳優の山田孝之が〝AVの帝王〟村西とおるを演じたNetflixオリジナルドラマ。
今年6月中旬、このドラマのプレスリリースが配信されたとき、村西とおるさんの誕生日を調べて命式を保存していました。
山田孝之、次は”伝説の男”に。
バブル真っ只中、狂乱の80年代に突如として現れ、業界を変革した一人の男。実話にもとづく、その衝撃のストーリー。
Netflixオリジナルシリーズ『 #全裸監督 』
8/8 配信開始決定! pic.twitter.com/kDP4xE56xO
— Netflix Japan (@NetflixJP) June 12, 2019
村西とおるさんの命式は【財星(偏財)】過多。
〝身弱多財(みじゃくたざい)〟というタイプ。
- 【比劫】(村西とおるさん自身)が弱く、【財】(目的、目標、理想、対象物)】の五行のパワーバランスが取れていないこと
- つまり、比劫<財
- 理想や目標が大きすぎて、つねに自分自身が圧倒されているタイプ(自分にダメ出しをしているタイプ)
※ちなみに、私くるみもこのタイプです
ていねいに読み込みたいと思っていましたが、そのまま放置。
すっかり忘れていたところ、先日9月9日(まさかの村西監督の誕生日)に会食した友人がおしえてくれたのです。
「『全裸監督』見た? お盆休みに解禁されて盛り上がってたよ。わたしなんて全8話、一日で見たよ!(おめーも見ろ!)」
彼女は、2010年4月、わたしにiPhoneを買ってTwitterを始めるように促してくれた姉御。
上野千鶴子さんが「東大祝辞」で話題になったとき「ちづちゃんの命式、読んでほしい」とリクエストをくれた女ともだちです。
かいごう(魁罡) 戊戌|上野千鶴子さんの場合『全裸監督』を見るためにNetflixに登録。
全8話を2日に分けて見ました。
う〜ん、強烈だった!
知らなかったエグい世界もてんこ盛りで、バブル時代の熱狂の渦のなかにしばし放り込まれた感じです。
女優・黒木香さんについては、当時愛読していた雑誌『CREA』(1994年6月号)に掲載された井田真木子さんによるインタビュー記事で知りました。
この記事は、井田真木子著『旬の自画像』『フォーカスな人たち』に再録されているので、いまでも読めます。
わたしは大学時代にフェミニズムを学びました。
学生時代にゲイの男性と出会い、彼の初出版(ゲイの性の置かれた状況やライフスタイルについて書かれた作品)に間接的に携わるなか、セックス、ジェンダー、セクシュアリティについて自分ごととして考えるようになりました。
そんな時代に目の前に現れた女優・黒木香さん。
彼女の存在に注目しました。
バブル全盛の時代から数十年が経過した2018年。
わたしは四柱推命を学び、〝おもしろい人びとの人生や生き様〟を味わう極上のツールを手に入れました。
『全裸監督』の主役である村西とおるさん、女優の黒木香さん。
おふたりの命式を調べてみると興味深いことがわかりました。
ドラマに関する感想は後述することにし、まずは四柱推命関連の資料をまとめてみようと思います。
村西とおるさんってどんな人?
こちらが村西とおるさんの命式と通変星のパラメーターです。
四柱でなく、三柱で出しています。
※出生時間を表す時柱(じちゅう)は含まれていません。ただし、時柱は把握しているため五行バランスにもとづいて読み進めています
村西とおるさんの内面性や大切したい価値観をまとめたのがこちら。
命式の日柱の十干、干支で読みます。
丁(ひのと)
イメージ:人工の灯火、ろうそく
キーワード:情熱、世話好き、社交性、知恵、愛嬌、移り気、文化
- 熱しやすく冷めやすい(揺れる炎)
- ロマンチストで、理想や志が高い
- 頭が切れて、鋭い感性を持っている(灯火は文明の象徴)
- 周囲からの影響を非常に受けやすい
丁酉(ひのととり)干支番号34
イメージ:秋の灯火
- 非常にデリケートで繊細(他人への細やかな気配りは特技とさえいえる)
- 思いやりがあって優しくデリケートな性格
- 見た目には明るく気さくだが、つねに取り越し苦労が多く人が良いため、何か頼まれると断りきれない弱さがある(誰にでも良い顔をしてしまう)
- 心の内側にほとばしく情熱があり、自分の理想の実現にコツコツと努力する辛抱強いところがある
- 自分の信念を決して疑わない心の強さを持っている
- どこか「なるようになるさ」とさっぱり割り切って考えることができる大器
- 感受性が豊かで繊細、基本的に楽天家、生まれながらに人間的な魅力の持ち主
- 上昇志向はあるほう、意外に騙されやすいところがある
女優・黒木香さんってどんな人?
こちらが黒木香さんの命式と通変星のパラメーターです。
四柱でなく、三柱で出しています。
※出生時間を表す時柱(じちゅう)は含まれていません。ただし、時柱は把握しているため五行バランスにもとづいて読み進めています
黒木香さんの内面性や大切したい価値観をまとめたのがこちら。
命式の日柱の十干、干支で読みます。
乙(きのと)
イメージ:苗木や草、花を咲かせるような観賞用の植物
キーワード:柔軟性、調停能力、協調、気配り、癒やし、負けん気
- 一見ひ弱に見えるも芯はしっかりしている
- 柔軟性や社交性があって人との和を取り持つのが得手
- 神経が細やかでストレスをためやすい
- 使命は、美しい花を咲かせて人々の心を和ませること
- 確固たる目標を持てるかどうかが開運の鍵(花を咲かせることにひたむきに頑張るためには目標が大切だから)
乙亥(きのとい)干支番号12
イメージ:冬の草
- 穏やかな外見とは裏腹に秘められた烈しさがある
- 物静かで、意志が強く、一本筋の通った人
- その強さのイメージは高い母性に通じているといってよく、おおらかな愛情の持ち主
- 真面目で働き者、怠けることを嫌い、アタマの回転が速く機敏、努力をいとわない
- 一芸に秀でて名を成す干支(何か特殊な技術や資格を持つことで、それが発揮されやすくなる)
- 正直で一本気な性格、内面は淡白でさっぱりとしている
- 物事に対して粘り強く深く探究していくが、反面、諦めの早い面あり
- 大器晩成タイプ
- あまり社交的ではない(頼まれたらイヤと言えない)
- 依存心がないので、どこでいっても周囲から頼りにされる存在
- やや激しやすい面もあり、人間関係においては不器用で孤立しやすい
印象的だったのは移動の車中でも、黒木さんはイタリアの本を原書で読んでいましたね。とても真面目な性格で、「撮影前にどんな勉強をしておいたらいいですか?」と聞いてきたんですよ。 私はこう答えました。「勉強よりも、自分のリアルなセックスを見せればそれでいいんだ。強いて言えば、ただ『アンアン』と言っててもしょうがないから、猥褻な言葉、あばずれのような声を発しなさい」。すると、「何を参考にすればよろしいですか?」と聞くから、「たとえば川上宗薫さん、宇能鴻一郎さん、富島健夫さんのような官能小説家の官能文学を読んで、そのセリフをピックアップすればどうですか」とアドバイスをしたんです。 そしたら撮影当日は、大学ノート20ページぐらいにわたってメモを書いてきましたよ。そういう勉強熱心なところがありましたね。
監督・村西とおるさんの【偏財】(丁日の辛)
つづいて、村西とおるさんの命式の最大の特長である【偏財】について。
十干百態論の考え方から【偏財】は10のタイプあります。
※十干百態論については、次の項でご説明
村西とおるさんの【偏財】は、丁日の辛で獄神得奇(ごくしんとっき)といいます。
丁日の辛:獄神得奇(ごくしんとっき)
(イメージ)炎にくべられた宝石
- 強ければ有用の【財】として働くが、バランスが悪ければ財運を失う作用あり
- 何ごとにも体当たりでぶつかっていくたくましい【偏財】
「十干百態論」とは?
命式を読むときは、五行のバランスを優先させて読んでいきます。
より深く命式を読み解いていく場合、「十干百態論」で見ていきます。
干支は、天干と地支の組み合わせ。
天干は全部で10ヶあるので十干(じっかん)といいます。
参考までに、十干をパワーの強い順に並べると次のようになります。
①丙 ②戊、庚、壬 ③甲 ④丁 ⑤乙、己、辛 ⑥癸
十干同士の関係は、10✕10となって全部で100種類のパターンが存在することなります。
この100種類の関係を用いた鑑定法を「十干百態論」といいます。
十干同士の組み合わせによって同じ通変星でもまったく働きが違うため、これが解釈にも影響します。
同じ【偏財】でも、十干別で10種類に分けてくわしく読んでいきます。
村西とおるさんの命式のように、10種の【偏財】の1種(丁日の辛)が命式に3つもあるのは珍しく、特筆すべき点です。
「映像制作会社の倒産で50億円の借金抱え…ストレスで目から血を流した」
今日中に現金8000万円を債権者に渡さなければ身の危険が迫る事態に陥った。
村西とおるは京都の金融業者のもとに飛んでいった。借金の申し出をしていると、目の前が真っ赤になった。ヒノキの大型テーブルにボタボタと真っ赤な血が垂れているのだ。視界の悪くなった右目を拭いてみると、手が真っ赤だった。極度のストレスから眼球の毛細血管が破れて出血したのだ。まさに血涙である。血の涙を流した結果、金融業者は現金で8000万円を貸した。命がいくつあっても足りない。そんな莫大な借金と取り立てだった。
このような数々のエピソードに、村西とおるさん【偏財】丁日の辛|獄神得奇(ごくしんとっき)の作用が見て取れます。
くるみ
十干百態論は、浅野太志先生の中級講座で学びました
村西監督のミラクルは、黒木香さんの大運も影響していた!
つづいて10年周期の社会運を読む大運(だいうん / たいうん)を見ていきます。
目を見張ったのは、黒木香さんが大ブレークした時期に〝大運律音(だいうんりっちん)〟が巡っていたことです。
大運律音(だいうんりっちん)とは、本人の日干支が大運に巡っていることを言います。
上の大運表を見ると、16歳〜26歳に黒木香さんの日干支【乙亥】が入っています。
自分の日干支が自分の大運の10年間を後押しする、という意味から大運律音=通常の倍の効果が出せると解釈します。
ちなみに、黒木香さんの16歳〜26歳の運気の特長は【比肩 / 死】で読みます。
通変星【比肩】:自我、自尊心、独立心を表す(負けず嫌いで独立心旺盛)
十二運星【死】:ひらめき、霊感、直感、思慮深さ、観察力、慎重さ、ゼロから何かを生み出す
黒木香さんは、横浜国立大学に在籍中1986年(当時21歳)、イタリア留学の費用を自ら工面するため、村西とおる監督のもとを訪れ、自らアダルトビデオの出演をオファー。
黒木香さんは、その後、バラエティ番組でタレント活動をしたり、歌手デビューをするなどマスコミでも一躍話題の人に。
『全裸監督』の黒木香さんが描かれたシーンを見ると、彼女の16歳〜26歳の運気の特長【比肩 / 死】を十分に察せられます。
比肩(自主自立)
- 母親との決別
- 村西監督に自らオファー
- AV女優としての活動で示す、女性としての性の自立や解放を唱える考え方、行動
※ただし筆者はこの一見斬新とも思える「思想と行動」が、その後の黒木香さんを苦しめることになったのではないか、と読んでいます
死(ゼロから何かを生み出す、ひらめき)
- ホラ貝型の笛を使った画期的な演出 他
このように、村西とおるさんの大成功は、大運律音が巡っていた黒木香さんという、自我と知性と感性を兼ね備えた女性(当時:横浜国立大学の現役大学生)と出会い、黒木香さんの加護にあやかることができたことが影響している…
四柱推命で見ると、そんなふうに読みとくことができます。
くるみ
大運律音の解説記事もご参照ください
村西監督のミラクルは大運【絶】が影響していた!
つづいて、黒木香さんと出会い大躍進した村西とおるさんの社会運を見ていきましょう。
黒木香さんと出会い、彼女のデビュー作であり、村西とおる監督の名前を世に知らしめることになった『SMぽいの好き』が発売されたのが、1986年10月2日。
1986年、村西とおる監督は38歳でした。
38歳の大運を見ると【印綬 / 絶】が巡る10年運の後半になります。
村西とおるさんの30歳〜40歳の運気の特長は【印綬 / 絶】で読みます。
通変星【印綬】:学問と名誉の星|習得欲求、理屈っぽい、人に教える、無知が嫌い、勉強、研究、おもいやり
十二運星【絶】:イメージは「あの世」、両極端なことが起こりやすく安定した生活とは縁が薄い(大ブレーク、ミラクルが起こることも)
『全裸監督』の黒木香さんの登場シーンを見る限りにおいて、村西監督が生み出したAVの表現スタイルは、コトバを駆使した〝実況解説〟
知性の星【印綬】の性質が垣間見られます。
知性の星が巡っている10年間。
村西とおる監督の知性とあくなき創造力に対して、全身全霊で呼応することができた女性。
それが、当時まだ21歳の女優・黒木香さんでした。
黒木香さんと村西とおるさんは、まさに〝運命の出会い〟とも呼ぶべきものだった。
四柱推命で、そのように読むことができます。
黒木香さんのデビュー作『SMぽいの好き』(1986年10月2日【乙卯】)が業界で異例の大ヒットを記録し、村西とおる監督への注目度も高まりました。
ちなみに、作品の発売開始日は1986年10月2日。
月干支は、村西とおるさんの日主【丁酉】と律音です。
以下は村西とおる監督の生年月日で出した命式。
以下は、黒木香さんのデビュー作『SMぽいの好き』(1986年10月2日)の発売日の命式です。
村西監督の仕事運が進化する5年に一度巡る干支が巡っている、節目の一ヶ月であることもわかりました。
『SMぽいの好き』の大成功は、四柱推命で裏打ちされていました。
(日取りは四柱推命で見て決めたられたのでしょうか?興味あります…)
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以上、『全裸監督』のメインキャストである村西とおるさん(監督)、黒木香さん(女優)の命式について調べて資料をまとめてみました。
Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』の鑑賞やふりかえりの参考になれば幸いです。
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このドラマ『全裸監督』を見ての感想については、日をあらめて書いてみようと思いますが、所感をひとことで言うと、女性にこそ見てほしいドラマだ、ということです。
女性が置かれている〝性〟をめぐる状況、性産業の闇、これを女性がささえている矛盾、支配、搾取の構造もわかります。
『全裸監督』について書かれた記事をいくつか読みました。
井戸まさえさんが書いた「大ヒットドラマ「全裸監督」の重要論点〜AV産業は昭和を引きずり…」きわめて秀逸だったのでシェアします。
大ヒットドラマ「全裸監督」の重要論点〜AV産業は昭和を引きずり… @gendai_biz https://t.co/3p4CQOPUDa #現代ビジネス
— くるみ ✦ 四柱推命で応援 (@Kurumimo22) September 22, 2019
この話題作をフェミニストの立場で、わかりやすく論点を整理してくれている記事です。
執筆者の井戸まさえさんが、大学の先輩であったことも頼もしく誇らしいかぎり…
うれしいです。
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韓国で異例の大ヒットを飛ばしている『82年生まれ、キム・ジヨン』につづき、女性のライフスタイルについて考える機会をくれる作品がつづいています。
四柱推命の知識でこれらの作品をザツに鑑賞する「四柱推命ザツ鑑賞」を楽しんでいきたいと思っています。
こんな記事も書きました。
読んでくださると嬉しいです。
太宰治を四柱推命鑑定|映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』